沈黙のフライバイ

500系の新幹線を最初にみたとき、「ついに現実化した未来だ!」とおもった。
なんて思う人にはいいと思う。


野尻抱介らしく、あまり心理描写がない。ポンとおかれた会話と地で説明される科学知識とがリンクして、読んでいる側の心理をかきたてていく。文章のなかから軌道エレベータや、探査機の姿が立ち上がってくる。まさに、琴線に触れる感じ。月や火星の写真をみて、わくわくできた人には、この短編集はとても心地好いし、ハートワーミングに思えるはずだ。


野尻抱介は、正直これまであまり読んでいなくて、大絶賛された「太陽の簒奪者」も微妙に乗れなかった。「ロケットガール」は、ライトノベル臭すぎる、と正直おもった。

でも、この短編集は最高!

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)