ソビエトカメラ党宣言

ここ数年、一部で人気のソビエトカメラなのだけど、その販売ににかかわった人の、エッセイ。
軽妙な文章が、すごくうまい。うますぎる、と思う。

ソビエトカメラというのは、主に第二次大戦後に旧ソビエトで製造されたカメラ。おおくは、ライカなどのドイツカメラのコピーから始まっている。ライカにそっくりでありながら、ライカとは全然違う価格帯で入手できることから一部に人気なのだけど、ロシアやウクライナといった国の製品を輸入すると、日本人の常識をかるく、うちやぶってくれる・・・らしい。


この本の最後は、一つのエピソードで締めくくられている。シベリア帰りで今は大工のタカハシ上等兵の話。かれは、器用さをみこまれて、シベリアでカメラの修理などもやっていたそうだ。著者が偶然、現地で購入した古い二眼レフの中にフィルムが残っていた。それを現像した写真を、このタカハシ上等兵にみせたところ、その写真は、なんとタカハシ上等兵がシベリアで撮影した写真だったというのである。いい話である。ただ出来すぎ、という気はする。


これは実話だろうか、そうでないのだろうか? というは正直気になる。これだけ、文章のうまい人のことだから、創作という気がすごくする。真実はわからない。
が、そんなことはどっちでもいいくらいおもしろい本なのである。






ソビエトカメラ党宣言

ソビエトカメラ党宣言