某所で推薦された本。
アメリカでボランティア活動に参加した人の、記録である。著者は、1993年から8年間、2つのNPOに参加し、その実態と日本との違いを分析している。
正直、あまり期待していなかったのだが、収穫は多かった。著者の参加したのは、低所得地区にあるNPOだ。そこの住民の無気力と、働くというライフスタイルそのものをもっていない状況は、おそらくNEETな人たちが固定化したまま2,3世代経過すればこうなるだろうという姿だ。希望がないなら努力しないことは正しい選択で、それが続くうちに、努力するするということが想像を超えた世界になってくる。
そして、そんな現状の中で、アメリカ政府のやっているのは、Devolution と呼ばれる政策。低所得者対策を、地方自治体やNPO・民間企業への業務委託する、よくいえば、「現場に責任を委譲する」だが、その実態は期限付きで責任を放棄していることに限りなく近い。著者は、そこに日本の介護保険の姿をみているようだが、いま日本で行われようとしてきている、地方自治体への業務の委譲というのは、はやり同じ構造だろう。
そして、この本の最後にまとめられている、NPOの抱える問題点の指摘はなるほどと思わせる。特に
- (組織の)サバイバルとミッションをどう両立するか?
- 「市民セクターの失敗」をどう克服するか
の2つは重要。
- 作者: 須田木綿子
- 出版社/メーカー: 青木書店
- 発売日: 2001/02/01
- メディア: 単行本
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