徳島のタウン誌、「あわわ」の創業者の回顧録(というのは、本人がまだ若いけど)みたいなものである。
あわわの創刊は、1981年なのだそうである。初めて「あわわ」を買ったのは、1982年だったと思うから、当時は、まだ創刊1年たつかたたないかで、編集長のアパートでわいわいいいながら本をつくっていたのだろう。そのころ、編集部に遊びにいっていたら人生かわっていたかもしれな。(^^
話はおもしい。中身も読みやすい。
ただ、惜しいのは大変さが今ひとつ伝わってこないこと。なんか、どのエピソードもほのぼのと感じられてしまうのだ。
そして、後半吉野川の問題に急激にのめり込んでいくところは、かなり微妙。運動に参加し始めたきっかけや変換点がすべて人間関係だけで語られていて、何が問題意識だったのがさっぱり伝わってこない。本人が重要だとおもって、力をいれていたことはわかる。わかるが、なんでそれが「なぜ」重要なのかはさっぱりわからないという構造だ。あわわの編集部内で、彼の意図したことはどれくらい「同意」という意味で理解されていたのだろうか?と、ふと思う。
彼も、吉野川に関わっている周囲の人もいい人なのだろうけど、その行動原理は、「xxさんがいうなら協力しよう」としか見えない。これって、その運動がどっちを向いていっても、同じように動くってことなんだけど、それに問題意識はなかったんだろうか?
個人的には、吉野川第十堰の問題は、住民投票の対象を徳島市に限った段階で終わったと思う。だって、いざとなれば洪水被害を受ける可能性の高い地域(いわゆる郡部だ)を切り捨てて、徳島市民だけ(彼らにとっては吉野川は遊びの場でしかない)を対象にした段階で、結果は操作されたも同然だからだ。
つーことで、タウン誌創刊のエピソードに同時代感覚のもてる人にはお勧めします。ちなみに、著者は1960年生まれ。全共闘のしっぽの世代、西岡恭蔵のファンだそうです。
- 作者: 住友達也
- 出版社/メーカー: 西日本出版社
- 発売日: 2004/12/07
- メディア: 単行本
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