小泉政治を検証する

19日付の朝日新聞で「小泉政治を検証する」という1ページ特集。
森永卓郎の文章が新鮮。


森永卓郎のポイントは2つだと思う。

郵政民営化」賛成・反対と、「小泉政権の出した郵政民営化法案」賛成・反対とは意味が違うということ

だから、本来の意味での「郵政民営化」は今回の選挙の対立点ではない。あくまで、「小泉政権の出した法案」の是非に限定されていると認識して判断すべきだということ。

日本で「郵政民営化」が唱えられている背景は、財政投融資に歯止めをかけるにはどうしたらいいか?という問題意識だ。朝日の同じページで、田中秀征が指摘している通りだ。郵政民営化自体は、手段であって目的ではない。「郵政民営化」の本来的に(というのは、当初この話があがってた際にはだが)郵貯の資金が問題視されていたわけで、郵便局自体に問題があるという話ではまったくなかった。というか郵便局自体は問題だとは指摘されていない。

(ついでに、経済屋が「公社形態が不効率」という場合は、職員が遊んでいるとか生産性が低いといっているわけでは全然ない。パレート効率的な別に均衡があり得るということをいっているだけだ。)

もう1点は

小泉改革による「経済を回復」とは何かは明確ではない。

という指摘だ。GDPも雇用者報酬(総額)も、小泉政権開始時から一貫して減少している。失業率の改善は、非正社員(派遣、パート)が増えているだけで、正社員雇用は増えていない。じゃ、どんな成果があがっているのか?イメージではなく、ゆっくり考えてみよう。



この2つの点が森永卓郎の指摘なのだけど、それを踏まえて森永卓郎が指摘しているのは、小泉内閣と、浜口内閣(1929-1931)との類似性だ。浜口内閣は金解禁によって、日本のデフレを決定的にしたにもかかわらず、国民の支持は落ちなかったという。状況が苦しくなればなるほど市民は、劇的な変革と「強い改革者」を求める心理になるからだと、森永卓郎は指摘するわけ。



さて、今はまた「戦前」になりつつあるのだろうか?ということを考えながら選挙にはいくべきだな。ちなみに、治安維持法の公布は、1924年。当初は、あんな思想統制になっていくとは、ほとんどの人は思わなかったのである。



#浜口内閣って、「男子の本懐」だな