グノーシスの薔薇

某MLで、「ハイペリオンのネタはこれだ!」ということで紹介をうけた本。


話は16世紀、レオ十世につかえる小人が主人公。貧民としてうまれた彼が、グノーシス派の教えに帰依しつつ、ローマ法王に使えることになっていく話だ。その背景で、グノーシス派の指導者と、異端審査官の対立が描かれていく。


これが、ハイペリオンを想起させるのは、「グノーシスの薔薇」におけるグノーシス派とバチカンとの関係と、「ハイペリオン」の物語のなかで重要なロールを演じる、シュライク教団とバチカンの関係との相似だ。「グノーシスの薔薇」の異端審査官トマーゾ・デッラ・クローチェは、デ・ソヤ神父だといえなくもない。

ただ、ほとんどの物語が、同じような構造に収斂させられるのだから、それ自体は問題ではない。グノーシスの薔薇自体は、おもしろい本だし、この本を呼んでいたからといってハイペリオンシリーズがおもしろくなくなるわけでもないし(むしろ、比較して読んだほうが興味深い)、ハイペリオン自体は、やっぱりダン・シモンズの傑作だという事実はかわらないと思う。





グノーシスの薔薇

グノーシスの薔薇