某氏の、日記のコメント知った ホフステードの、多文化世界を読み終り。かなり興味深い
ホフステードのこの本は70年代にIBMの従業員を対象におこなわれた価値観に関する調査を元にしている。この調査では、IBMというおなじ会社という文化の集団を母集団として国による価値観の違いをあぶりだしている。
内容をまとめてしまう、世界の価値観は
という5つの次元で表現されている。この中の複数の次元をくみあわせることで、それぞれの国・地域のもつ文化がグループ化できるのだそうだ。
ちなみに、日本は そこそこ集団主義であり、権力格差は中くらいだが、突出しているのは、男性的価値(この本でいう男性的価値というのは、自己実現に対する欲求と理解したほうが良さそうに思うのだけど)が強いということなのだそうだ。
で、こうまとめてしまうと、正直ふーんという感じなのだけど、この本のポイントはこの違いが人々の行動の上に、どのような違いになるかまでを具体的に例示してみせたところにあると思う。そして、その上に、文化とは価値観であり、それは、ソフトウエア(アルゴリズムと考えるべき?)なのだととく。それが国によって異なるのだから、おなじ事実に対して、おなじ反応をするわけはない。その違いをおりこんだ上でコミュニケーションをおこなわなければ、コミュニケーションの成立が難しくなる。というのがポイントだ。
海外と話をしていて、いまひとつ腑に落ちないケースのかなりの部分は、この本をベースに再解釈をすることで、理解できそうな気がする。そのためには、もう何度か読み直しが必要だけど。
価値観こそが、文化であるという話は、いま読んでいる、NMPの本にもでてきていている。社会厚生関数の中で、複数の主体・複数の政策の価値をどのようにウエイト付けするかという問題。ウエイト付が価値観に依存するのだとすると、価値観の異なる複数の社会において、費用・便益分析をおこなうことは、無意味なんじゃないだろうか。それは、10kg と1mを足したら、2Lより多いか?という議論になってしまうのだから。
ちなみに、後半企業文化に関する考察もされているが、企業文化の違いは価値観ではなく、行動様式の違いとして現れるのだそうだ。それもまた興味深い。
- 作者: ヘールトホフステード,Geert Hofstede,岩井紀子,岩井八郎
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1995/02/20
- メディア: 単行本
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