インフレ、雇用、そして金融政策

日銀が量的緩和政策からの転換を打ち出しつつある今って、この本を読むには旬かもしれない。

ノーベル賞学者のソローと、テイラールールのテイラーの講演録に、フリードマンガルブレイス、マンキューといった人たちがコメントをつけ、さらに、ソローとテイラーが書簡での意見交換を付加したという、並んでいる名前をみれば超豪華な本。


議論の主題は、金融政策。内容については、訳者あとがぎで、以下のようにまとまっめられている。(私にはこれ以上にはとてもまとめられません)

本書はフィリップ曲線とそれをめぐる金融政策に関する議論についてのシンポジウム議事録となっている。短期にフィリップ曲線が存在したとしても、長期にはそのようなトレードオフ関係は存在しないとする、いわゆるフリードマンフェルプス流の考え方は、理論的にもまた実証的にも歌額余地がない事実であると言うことを前提として、短期の金融政策がこのトレードオフにおよぼす影響、さらに自然失業率をめぐる問題が議論の中核となっている。

長期のトレードオフについては、テイラーは明確に否定しているが、(すくなくともこの本の中では)フリードマンはそこまでいっていない。ただ、構造変化と変動とは長期で見分けがつかないとしているから、仮にトレードオフが存在しても計測不可能だということをいっているわけで、それほどの違いはない。


議論は、金融政策としてなにが適切なのか、テイラールールは有効なのかなどと進んでいくのだけど、まだこれだ!という結論はない。市場環境条件が今後も変わっていくだろうから、おそらく、今後も決定打はでないのではないかと個人的に思うが、それはそれとして、この本。非常にわかりやすい。こんなにわかりやすくていいのかしら?というくらいでこの時期読むと非常に興味深い本だった。



インフレ、雇用、そして金融政策―現代経済学の中心的課題

インフレ、雇用、そして金融政策―現代経済学の中心的課題