中央公論 2006年6月号 その1

harowanwan2006-05-18

大きな特集は以下の4つ。

  • 地方格差
  • 次代に伝えたい日本語
  • リスク社会をどう生きるか
  • 多国籍社会は油断できない?

で、関心をひいたのは、まずは地方格差の特集。
ここでは、藻谷浩介の「生き残る街、消える町」が興味深い。これについたは、同じ著者の、日経の経済教室とわせて感想を書いた。
同じ特集のなかで、鈴木宗男の「私の手法こそが政治だ−小泉・竹中路線に地方は黙っていない」とするインタビュー記事はストレートで分かりやすい、そして論理的な主張。「ハイエク的、フリードマン的な市場原理がなじむ地域とそうでない地域がある」といった主張から、税金以外の地方の貢献が評価されていないという外部経済の問題を指摘し、緊縮財政が税収不足を招いているという主張。そして、現在の日本は、格差の固定化を問題視するまとめは、自由より平等を重視した意見は、まさにケインジアン的だ。



あと興味ぶかかったのは、「多国籍社会は油断できない?」と題した特集のなかの2つの記事。
一つは、河合幹雄桐蔭横浜大学教授の「外国人犯罪のせいで治安は悪化しない」という記事。ここのところ、治安悪化を報じるマスコミへの批判として、実はそれほど治安は悪化していないという反論が出始めているが、この記事では外国人犯罪についても数字をベースに、「将来はともかく、現在の犯罪実態はさしたることはない」という判断が述べられてる。

来日外国人の刑法犯検挙人員は、1991年から急増したが、93年をピークに現象、しかし99年から増加し始めて、2002年に最高記録を更新した。翌年に福岡で中国人留学生による一日頃私事権があり、外国人犯罪と治安悪化を結びつける言説は、このころから急増している。同年以降、検挙人員は、じりじり増加している。入国者が、ここ10年で、倍近いことを考えれば、むしろよく持ちこたえている。(P230-231)


その現状をふまえて、外国人犯罪にたいする司法コストや保険制度におけるコスト、外国人子弟への教育コストなど社会的コスト全般(の最適化)を考慮する必要があるとしている。