棚の思想 / 小川道明

リブロの元社長・小川道明が、1978年から1989年にかけて、業界紙にかいた文章を集めた本。

複数の媒体にかいた記事を集めてあるせいで、同じ内容が繰り返し現れてきたりして、本全体としては冗長。

この時代のトピックは、大型書店の登場であり、再販制度の見直しであり、やがて消費税の問題がでてくる。そのなかに、ギャルズライフに代表される、ギャル雑誌の隆盛(赤羽健美が当時編集長だった)や、まるすニュース(鈴木書店も2001年に一度「破産」した)の話や、日販の書籍データベース(NOCSの端末が、IBMの5550だったのは懐かしい)の話など、正直ごった煮状態。


ただ、あの時代の雰囲気が伝わってくるので、そういう時代感覚を味わいたい向きには買いかな。

100坪で大規模といわれた書店は、いまや2千坪級までいっているが、それでも品揃えでいえばamazonにはかなわない。そんな中での生き残りは、コンビニに対抗できるだけの、効率を最優先した店舗網から着実に収益をあげて、その収益で採算があうかどうかわからない大型店を維持するという方式になっていくのかもしれない、とか思ったりする。宮脇書店総本店は非常識にすごいけど、あれは志がなければやれないでしょう。

http://www.miyawakishoten.com/mcs.htm




棚の思想―メディア革命時代の出版文化

棚の思想―メディア革命時代の出版文化