岩井俊二の2001年の作品。
2001年といえば、「スワロウテイル」の話題も一段落したころではないかとおもうのだけど、この映画、あまり記憶にない。で、この映画は岩井版の「蠅の王」ではないかというのが、第一印象。
ストーリーを、一言にまとめてしまえば、これは中学生の間のいじめを扱ったもの。それが、「蠅の王」を連想させるのが、周囲の大人が、中学生の世界と関係をもたず、介入もしてこないもの、として描かれているからだろう。
万引きをしても「よくあること」としてすませ、自殺者がでても、たんたんとしている。周囲にいる大人はいないも同然なのである。だから、無人島を舞台とした「蠅の王」を連想してしまう。
そんな中で、中学生たちは、(物理的暴力だけではない)力をたよりに、過ごしていかざるをえない。ある者は自殺するし、あるものはプライドを圧し殺していく。ただ、大人に頼っても解決策は与えられないし、登場人物達もそんなことは、期待していない。
映画は、いじめられてた主人公が、いじめの相手である同級生を殺すところで終わるが、それを救いとは描いていない。当然、いじめの解決策を相手を殺すこととしているわけでもない。というか、解決策はないというのが、むしろメッセージだと思う。
で、監督はこの映画をだれに見せたかったのだろう?
当の中学生達に見せたかったのか、それとも大人にみせたかったのか。そこは、正直良くわからない。
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