「世界征服」は可能か?

オタキング岡田斗司夫の評論というか、「世界征服」という事業に対する考察。

前書きで岡田斗司夫は、この本はいわゆる謎本ではないといっていて、確かにその通りで謎本ではない。じゃ、なにかといえば、これは「空想科学読本」の経営(学)版なのだ。


岡田斗司夫は元ガイナックス社長であって、それ以前にSFイベントの有名オーガナイザーだった。という訳で、この本は「世界征服」というイベントをやるには、どういうポイントが重要になっているかを説明する、という成り立ちになっていて、結果的に経営書的。それは、第3章の構成をみると歴然。(以下参照)

第3章 世界征服の手順
1.第一段階 目的設定
2.第二段階 人材確保
3.第三段階 資金の調達と設備投資
4.第四段階 作戦と武装
5.第五段階 部下の管理と粛正
6.最終段階 世界征服・その後

ね、これは経営書でしょ。

ただ、この本のおもしろさはその後の第4章で、そこで、そこで語られているのは、結局世界征服して何が面白いのか(反語表現)ということ。

勝手に想像すれば、ガイナックス社長でブイブイいわせていた岡田斗司夫が、退任後に考えてきたことではないのかしらん、と思えなくもなかったりする。

ちくまプリマー新書なのだから、中高校生という読者層は想定しているはずで(一部の漢字にはふりがながあるし)、全体としては軽い。が、提起している問題はそれなりに噛みごたえがあるので、読んでみて損はないかな。

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)