日経新聞 YEN漂流「沈む国と通貨の物語」

harowanwan2008-01-01

新年、日経の1面は「沈む国と通貨の物語」という結構刺激的なタイトル。

YEN漂流と題した連載の第1回目で、円安のもたらした状況をレポートしている。それぞれは真実だとはおもうのだけど、そこから導き出す提言がどうなのかしらん?これで、「だから、円高を誘導すべき」だと日銀といっしょで、結果的に日本の経済の長期低迷をさらに、長引かせることになるんじゃないかしらん。

グローバル化が進めば、長期的には人件費は平準化されるわけで、そのときに、日本の人件費は当然下落する。調整は、名目人件費の下落と、円相場相場でもって行われるわけで、そう考えると、円の下落は左翼チックな言葉を使えば「歴史的必然」で別に問題ないともいえる。

ただ、同じ状況にある他の先進国、特に通貨の上昇しているEUはどうなのよ、というのがポイントだろう。ありがちな展開は、説明として「自由化」をもってきて、ウインブルドン現象をおそれていてはダメだ、とか言ってしまうのだけど、その一方で、サッチャー、メージャー政権の間に社会資本が劣化して、犯罪発生率が1.5倍に増えた国が、お手本となるのかはかなり価値観に依存する話のように思う。

人件費の平準化の話だけど、EU諸国は名目人件費は下落(あるいは、労働条件の悪化)がおこりつつも、通貨は上昇している。一方、日本は、両方が同時に起こっている感じ。EUの場合は、域内での平準化が同時に進行しているわけで、ドイツやフランスといった先進国は、名目賃金でしか、人件費を調整できない。人件費が、名目で十分調整されているならば、ユーロ圏外に対しては、別に通貨で調整を行なう必要もないわけで、つじつまはあっているようにおもうのだけど。

で、突き詰めていくと、これは名目賃金での調整と、通貨下落ではどちらのほうが、いいのかという話ではないかしらん。もちろん、どっちがいいかは、もう価値観の話なのだけど。

連載は、まだ続くようなので、今後の展開に注目。

ちなみに、webの記事は、以下。

http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/ydrift/sec1/sec080101.html

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