エリ・エリ

今頃読んでいるというのもどうかと思うけど。

この小説のテーマは、神でそれにSETIが絡んで、というある面王道なんですけど、おもしろさ自体は、そこじゃないところにあるような気がするのですけど。
神のテーマに対してSETIは補助線のような存在だと思うのだけど、神の存在自体も、実は補助線で、実際のテーマは人生の意味とかそのあたりにあるんじゃないかしらん。

主人公の一人である、榊神父は、神の存在に疑問を感じていて、そのことを論文にかく。それを読んだ、ローマ法王は榊に神の存在を科学的に証明するプロジェクトを命じるのだけど、それは法王自身が神の存在に疑問を持ち始めているから。ところが、そのプロジェクトを発表している会場でテロに巻き込まれ、榊は体を失うことになる。

 神の存在の確認の為に、人生賭けられるのか、

というのが読み取ったテーマなんですけどね。
で、この「神の存在の確認の為に」の部分は他の登場人物においては、別のテーマがあって、それが絡まって…ってという展開なんですけどね。

第1回の小松左京賞受賞作品なのだけど、どっちかといえば初期の山田正紀のような雰囲気を感じたりしました。

エリ・エリ

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