この世でいちばん大事な「カネ」の話
西原のエッセイ、でもって「よりみちパン!セ」シリーズからでてます。
で、この本は、西原の自伝エッセイといえばそれでおわりなんだけど、後半にグラミン銀行の話とかでてくる。で、グラミン銀行の話は、援助するだけじゃダメだ、と言う話とセットなわけだけど、それを補強するのは、西原自身の経験からくる以下のコメントじゃないかな。
「エサをもらって生きる」だけじゃ、牛や馬と同じになってしまう。人でなくなってしまう。
そうじゃなくって、やっぱり「働くことができる」「働ける場所がある」ってことが、本当の意味で人を「貧しさ」から救うんだと思う。
だから、ただ「配る」「あげる」だけじゃない方法を考えようとした人がいる。人が人でありつづけられうように「働くこと」を大切なこととしていちばん真ん中に据えた取り組みが貧困に苦しむバングラデシュから生まれた。(P218)
その仕事の選び方についての西原のコメントは以下の部分。
一方に、お給料は結構もらえるんだけど、でもそれは我慢料も入っている仕事がある。
そしてもう一方に、そんなにストレスはなさそうだけど、ただ食べていくため、生活費を稼ぎ出すための仕事がある。こっちは、まあ、お灸医療はそんなにはもらえない。
あんまりストレスが大きい仕事は、いくらお金をたくさんもらえたからって姉妹には心と体と壊してしまう。イエにかえって眠る暇もないような仕事をしていたら、家族だって心配だし、大変だよね。
だからといって、国中がある程度豊かだと、ただ生活していくため、食べていくためだけで精一杯の仕事では、人はやりがいや充実感を感じにくい。「自分がやりたいことがわからない」という人は、やみくもに手探りをするよりも、このふたつの「あいだ」に自分の落としどころを探してみたらどうだろう。
「カネとストレス」「カネとやりがい」の真ん中に、自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
それでも、もし「仕事」や「働くこと」に対するイメージがぼんやりするようならば、「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。自分がした仕事人に喜んでもらえると、疲れなんてふっとんじゃうからね。
わたしも読者から手紙をもらうことがある。「毎日仕事もしんどくって、周りの人たちともうまくいかなくって、夜も眠れなかったときに、西原さんの漫画を読んだら、あははと笑って、心がすーっとして眠れました」って。
そういう言葉をもらうと、やっぱり、とても嬉しい。人の役に立つって嬉しいことなんだって実感する。(P197-198)
少し前に、最相葉月が日経夕刊で星新一が、ファンクラブにはげまされて、1000編を書き上げたというエピソードを紹介していたのだけど、これってかなり普遍的なことでしょう。
で、このあたりを理屈で理解していこうとすると、希望学になるのかも。
以上、この本の主題とはたぶん違うところから勝手に拾っちゃった思いつきメモ。
- 作者: 西原理恵子
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