店頭でみかけて、衝動買い。新書としても薄めであっさり読み切り。
この本のメッセージは、たぶん以下の部分に凝縮されているので、(それだけで)納得できれば以下の部分だけでいいかも。
さて、日本人は”ルールを利用して勝負に勝つ”というやり方をあまり好みません。これは汚い行為に映るのです。そして、なぜそう考えるのかというと、そこには3つの要素があります。
1つは美学の問題。
ワザや技術を磨かずに、ルールを変更して勝つという戦い方を、日本人は美しいとおもいません。そんな発想をする人や企業があれば、「あれは我田引水だ」などといって信用を失ってしまいます。
さらに、日本のスポーツやビジネスの当事者は、ルール作りを第三者に預けてしまい、自分からルール作りに参画しようとは思いません。
「私は背が低いから、協議に身長制限を作ってしまおう」と考える選手、「我が社の製品はすばらしいものだから、プロモーションよりmまず法律を変えて売れるようにしよう」と発想する企業はまずないでしょう。
2つめはルールに関する考え方の違いです。
欧米人の考えるルールというのは、利害関係者間での決めごとであり、戦いの一部といってもよいものです。したがって、彼らにとってルールを変更して戦いを有利に運ぶことは自然な行動であり、決してずるいやり方ではありません。
ルールが自分に不利であると思ったら、あるいは実情にあわないと感じたら、当事者と交渉し、買えてしまえばいいだけの話なのです。
3つめは、ルールとプリンシパルの混同です。
日本人が「ずるい」とか「美しい」とか判定している基準はルールではなくプリンシパルともいうべきものです。これは、時には勝負をも超越する原則ですが、ルールと違い自律的なもので、第三者に強要することはできません。従って、プリンシパルが違うからといって、相手の行動を非難することはできないのです。(P39-40)
この場合のプリンシパルは、行動原理と訳してもいいんじゃないかと思う。
行動原理が違うのだから、彼らの行動は彼らなりに倫理的であるわけで、だったら倫理的に非難しても無駄。あとは、彼らのルールにのっかって、ルール作りの段階からものも伸すべき、というのがこの本の趣旨。で、ルール作りに関わっていく場合のスタンスが以下。
ステップ1
新しいルールをよく理解し、ルールに照らして自社の活動に問題がないかをチェックしあれば修正する
ステップ2
問題がないこと確実にした上で、新しいビジネスチャンスが生まれていないかを模索する
ステップ3
ルール作りへの対応で競合他社をリードしたうえで、ルール作りに積極的に参画する。
(P174)
この部分は、「Climate Change」からの引用とのことなので、そっちを読むのもいいかも。
ずるい!? なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか (ディスカヴァー携書)
- 作者: 青木高夫
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/12/20
- メディア: 新書
- 購入: 11人 クリック: 564回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
Climate Change: What's Your Business Strategy? (Memo to the CEO)
- 作者: Andrew J. Hoffman,John G. Woody
- 出版社/メーカー: Harvard Business Review Press
- 発売日: 2008/03/25
- メディア: ハードカバー
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (1件) を見る