ヨーロッパ型資本主義―アメリカ市場原理主義との決別

ちょっと前、2002年に出版された新書。久しぶりに読み直し。
読み返して、今になって気がつくのは、どこかでみた分類の繰り返し。

最近ではドイツ人研究者のフリッツ・シャープ現社会研究所共同所長が、資本主義のタイプの違いと欧州統合の関係を論じた著作を出し、*1話題になった。シャープ史はヨーロッパの資本主義を、(1)デンマークスウェーデンなど北欧を中心とした福祉・高負担型資本主義、(2)ドイツ、フランスなど西欧を中心とした中福祉・中負担型資本主義、(3)スペイン、ギリシャなど南欧の低福祉型資本主義、(4)イギリス、アイルランドなどの(一般税収で最低限の年金、失業手当、医療は提供するが、それ以外は民間に任せる)民間重視型資本主義の四つに分類している。(P141)

結局、あるべき社会観というか、シンプルにいえば価値観には地域性があるというと身も蓋もないが、そういうことじゃなかろうか?
それは、自治体がどうあるべきかというNPM論としてもでてくるし、会社とは何かという会計制度のあるべき論にもリンクする。

会計基準を巡る対立が起こるのは、企業の役割とは何かという基本的な考え方において、アメリカとヨーロッパの間で大きな違いがあるからである。99年秋に発表された研究論文によると、日米欧の企業金融と経営管理手法は1920年代には互いにかなりに通っており、今日ほどの大きな違いはなかったという。だが、1950年代から70年代にかけての長い期間に、各国はそれぞれお独自の企業統治と企業金融の仕組みを生み出し、その後アメリカは80年代、90年代という最近の二十年間に、株主のための企業という「純粋資本主義」へと傾斜していった。(P42)

なんか、デジャヴュのよう。

ヨーロッパ型資本主義-アメリカ市場原理主義との決別 (講談社現代新書)

ヨーロッパ型資本主義-アメリカ市場原理主義との決別 (講談社現代新書)

#この記事も併せて読むといいかも。
「闘論:敵対的買収の是非 北城恪太郎氏/福島清彦氏」
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/wadai/archive/news/2006/09/04/20060904ddm003070071000c.html

*1:Fritz Scharpf,Governing in Europe 1999