いのちの戦場−アルジェルア1959−

新聞の映画評にあがっていて、見に行ってみる。


舞台は、1959年のアルジェリア
主人公は、新たにアルジェリアに派遣されあフランス軍の中尉。赴任した隊で行われていた拷問や、虐殺に強く感情を動かされ、止めようとする。しかし、止められなかった銃撃では、実際に武器を運搬するゲリラだったことがわかり、虐殺をやめさせた村の人々はゲリラに虐殺される。フランス軍もゲリラも虐殺も繰り返す中で、理想家肌の彼は、だんだん追い詰められていく・・・というのはある面予定調和的なのだけど、この映画が感情に訴えてくる力をもっているのは、映像と音響の力だろう。

跳弾の飛び跳ねる金属音、狙撃されたときの、バスッという湿った重い音。投下されたナパーム弾の迫力とその後の死者の顔。「残虐行為はよくない」とか言っても無意味だということを映像と音響が訴えかけてくる感じ。



ラスト15分、物語の結末は意外な人物によって、意外な時点から語られるのだけど、残るいやーな感じがやっぱりフランス映画らしい魅力かな。

原題は、L'ennemi Intime(内なる敵)。たぶん、問われているのはみている側の「内」だと思う。
つまり、あの場に自分がいたら結局どうするのよ!という問いかけ。これに答えるのはかなり難しい。そして、同じ時に自分が本国にいたら、どうするのか、ということ。

主人公の中尉は、5歳の子供と妻を残し、アルジェリアに志願してきていた。
そして、赴任中に得られた休暇では、家族の元にもどるのだが、タクシーの窓から子供をみるだけで、声もかけずに戦場に戻っていく。