少年少女のための文学全集があったころ

ちょこちょこと話題になっていたので読んでみる。
本好き少女が、子どもの頃読んできた本を愛情たっぷりに振り返りながら、当時の翻訳家がどのような仕事をしていたのかを紹介していくという本なので、同世代でおなじような読書体験をしてきた人には、すごく楽しめる本とおもう。

1960年生まれの著者が本読み「少女」だった頃、というのはおそらく1970年前後。ということで世代的には結構近いのだけど、読んできた本があまりに違っていて、実はそこが一番びっくりしてしまった。当時の学校図書館には文学全集が確かにあって、それはそのとおりなのだけど、一生懸命よんでいたのは、岩波の少年少女文学全集ではなかったわけね。もちろん本読みだから、一通りは読んでいるのだけど、赤毛のアンも、メアリーポピンズも、ハマったか?というと違う気がする。ひょっとしたら、主人公が女の子だったからか?という気もするけど、いまにしては思うけど、だからといって「にんじん」にハマルか?といえばねぇ。


その先でハマッて読んでいたのは、講談社の「世界の科学名作」だったりするわけで、岩波の少年少女文学全集ではなかったわけね。


小学校の本読み仲間はそれなりにいたのだけど、そういう文学少女はそこにはいなかったのか、あるいはそういう話題をしなかったのか分からない。というわけで、自分としては、そうか当時の文学少女ってこういうの読んでいたのか!という発見が、この本を読んでの率直な気持ちだったりする。

考えてみると、6年生くらいからは、大人向けの文庫を読み始めて、そこにソノラマが乗っかり出すわけで、
子ども向けの本を夢中になって読んでいたのって、小学校3年生から5年生くらいの本の3年間くらいなのね。その時期に何を読んだかで、おそらく全然違う本をよむことになるでしょう。


ベルヌは大好きだったけど、この本にでてくる「十五少年漂流記」より、「悪魔の発明」のほうがぞくぞくした。ちなみに、「悪魔の発明福島正実訳。このあたりで、すでに人生はちがってきちゃってたのね。



悪魔の発明 (少年少女ベルヌ科学名作10)

悪魔の発明 (少年少女ベルヌ科学名作10)